ビタミンCが人類を救う Linus Pauling|福岡市博多区内科・糖尿病内科|山本診療所

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院長コラム

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ビタミンCが人類を救う Linus Pauling

院長コラム

 

 

新型コロナウイルス大流行の中、今こそ20世紀の天才科学者Linus Pauling 博士(1901-1994)が遺した人類愛に立脚した新しい医学を再び世界に解き放つべき時ではないかと考えています。

物理学(量子力学)を化学に応用し化学結合論などによる1954年ノーベル化学賞の受賞者であり20世紀を代表する天才の一人米国のLinus Pauling(ライナスポーリング)博士は晩年ビタミンC(アスコルビン酸)を医学に応用する研究に没頭され、「ビタミンCが人類を救う」と述べられたと聞いています。ポーリング博士は、広島長崎の原爆の危機感から第二次世界大戦後核兵器反対運動に没入され核実験禁止条約締結の実現に貢献し、1963年にはノーベル平和賞も受賞されました。歴史上唯一のノーベル賞を単独二度受賞された人物になります。壮大な視野で、病気と戦争(Human suffering ) から人類全体を救うことすなわち人類の健康と平和( Health and Peace ) という崇高な理想 にその93年の生涯の後半生を捧げられました。明晰な頭脳だけでなく、想像力豊かで、何物も恐れない勇気を兼ね備えた、科学への情熱と平和への信念に生きた巨人でした。

ビタミンC(Ascorbic acid C6H8O6)は生体内で起こるほとんどすべての生化学反応、特に防御機構に関与しているビタミンの概念を超えた生命の維持に不可欠の化学物質です。ポーリング博士はビタミンのように通常生体内に存在して生命のために必須な栄養素である化学物質を欠乏症に使う量より遥かに多くの量を服用することによって体内濃度を上昇させ、関与する多くの化学反応をより円滑に進めることができるようになり、また生化学的個人差すなわち体質を克服することができるのではないかと考えました。そしてこのような考えに基づいた医学をOrthomolecular medicine(分子矯正医学)と呼んでいます。薬物療法と比較して安全性を重視した新しい医学です。ほぼ同時期に類似の理論を提唱されたのは日本の物理学者三石巌先生でした。人やサル、モルモットなど一部の動物は進化の過程でビタミンC合成能をなくしていますが、多くの動物はビタミンCを体内で合成することが可能であり様々なストレスに応じてビタミンC合成量を増加させることができます。このことは普通に食物から得られる量ではビタミンCの適正量に足りないことを示唆しています。

ポーリング博士はビタミンCのグラム単位の摂取により生体防御機構すなわち免疫能を強化することが可能でありウイルス疾患を予防できることを強調しています( Vitamin C boosts the immune system. )。 具体的には、抗ウイルス作用のあるインターフェロンの合成を促進し、白血球機能の亢進、補体系、抗体やTリンパ球、NK細胞の増強など多くの免疫増強機序が示されています。またビタミンCに直接的なウイルス不活化作用があることも確認されています。更にその強い抗酸化作用により激しい免疫反応の結果生じる組織障害性の活性酸素を中和できる可能性もあります。ビタミンCの推奨量は現在一日100mgとなっていますが、ポーリング博士が推奨したのはその20~30倍の2~3gでした。そして生化学的個人差を考慮すると10g以上必要な場合もあると考えました。また身体的精神的ストレスによりビタミンCが欠乏して低アスコルビン酸血症 (hypoascorbinemia) というべき病態を引き起こすことも知られておりストレス下では特に大量のビタミンCが必要だと考えられています。ビタミンC濃度の高い臓器である「副腎」ではストレス時に副腎皮質ホルモンやカテコールアミンが作られるときビタミンCが消費されビタミンC濃度が急激に減少していきます。すなわち実際は現在の新型コロナウイルス大流行下の精神的ストレスだけでもビタミンCの摂取量を増やさなければならないのです。

ビタミンCの服用法には注意が必要です。ビタミンCは半減期が短いので一日一回の服用では効果は期待できません。現在ポーリング博士の影響でビタミンCを服用している人々は世界中で増えているはずですが大半の方は一日一回ではないかと推測しています。一日中効かせて高い血中濃度を維持するためには最低でも一日三回の服用が必要であると考えられています。またその方にとって過剰になると下痢しますので一回量を減らす必要があります。ビタミンCは頻回服用することが効果を得るためには最も重要であり従来あまり指摘されていなかったことなのです( Divided doses give greater protection. )。

ポーリング博士は、1976年「VitaminC, the common cold and the flu」や1986年「How to live longer and feel better」という遺書とも言うべき著書の中で1918-19年の世界中で約2000万人の方が亡くなられたインフルエンザウイルス(スペイン風邪)のような悲劇を将来防ぐためにもビタミンCのグラム単位の服用を呼び掛けています。万一罹患した場合でもビタミンC欠乏(低アスコルビン酸血症)の方が重症化するのではないかとも推察しており、予防だけでなく重症化を防ぐことができると予言していました。それほどビタミンCは生体防御に必須の栄養素なのです。またビタミンCが高価な薬ではなく誰もが服用できるであろう安価な栄養素であり極めて安全であることがその重要な根拠の一つでした。そして彼の提唱した分子矯正医学の中でもこのビタミンC大量療法による感染症に対する生体防御力の強化が最も重要であると述べています。今日の新型コロナウイルスのパンデミックを危惧し予見していたとも考えられ、天才ポーリング博士の並外れた洞察力と人類愛を感じさせられます。

ポーリング博士が関与された「International Society for Orthomolecular Medicine」というカナダに本部のある分子矯正医学の国際学会が先日新型コロナウイルス感染予防にビタミンCを一日三グラム以上服用することを推奨する声明を発表しています。「科学的根拠に基づいた医学」と訳されるEBM(Evidence based medicine)の影響を受けた医師達は科学的証拠が不十分であると指摘するかもしれませんが、今こそ「EBMが真の科学ではない」ことに気づいていただくことを期待しています。そして新型コロナウイルス世界的流行の人類の危機の中、天才ライナスポーリング博士が遺されたビタミンCのグラム単位の大量摂取が新型コロナウイルス予防の切り札として多くの人々に再認識されることを願っています。

 

「知るものは言わず、言うものは知らず」 老子

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