臨床医学は芸術である。ただし帰納的科学を基盤とした|福岡市博多区内科・糖尿病内科|山本診療所

当院は予約制です

0924147063

診療時間 9:00~13:00/15:00~18:30
【水曜日 14:00~18:30】
休診日 水曜午前/土曜午後/日曜/祝日

院長コラム

Doctor’s columm

臨床医学は芸術である。ただし帰納的科学を基盤とした

院長コラム

米国臨床医学の父であるウィリアムオスラー先生の有名な言葉に

Medicine is an art, based on science.

があります。私はこの言葉を素直に「臨床医学は自然科学に基づいた芸術である」と解釈すべきであると考えています。

この言葉は、医師によって様々に解釈されているようです。最近ではいわゆるEBMの元祖とも言われてます。EBM(Evidence-based medicine)はある集団の平均値を基にした統計的医学です。統計学は数学を基盤としており、数学は自然科学ではなく、EBMも自然科学ではないのです。「科学」と言えば、歴史的には「自然科学」のことですが最近はあまりにも安易に使われています。

オスラー先生の言われているScienceは「自然科学」のことを言っているのであり、EBMとは本質的に違うと考えています。

自然科学は個々の事実の正確な観察や実験によって真理を探究していく帰納的科学です。帰納的研究方法は17世紀に英国のフランシスベーコンが勧めました。

一流の芸術家は最高のものを目指します。臨床医学は芸術であり、本来は医師が患者のために最高と思える診断と治療を妥協せず行うものではないでしょうか。医師自身の長年蓄積した臨床経験に研究結果を加味して、そして更には医師として磨いてきた臨床的直感からくる洞察に耳を傾けて一人一人の患者の診断と治療を医師としての誇りをもって行うのが真の臨床医学であると考えています。これは一流の芸術家にも共通した姿勢であり、ある意味では個性的なものです。EBMにおけるある集団の平均値の論理に踊らされては決していけないと考えています。

pagetop